アルコール依存症から回復したネコさんの話

飲み始めたのは中2のとき
 わたしは、14歳の時遊び半分ではじめてお酒を口にして、19歳でアルコール依存症という病気になって、今はもう1滴もお酒を口にしていないのだけど、まさかはじめから依存症になるつもりでお酒を飲んだわけじゃないんだな。
 未成年でお酒飲んで、なんだか大人になった気分だったし、仲間と騒いだりして一時は楽しかった。「お酒ってサイコー!」って思ってた。
高校のころは、ひとりぼっちで飲んでいた 
が、しかしお酒を飲んでいた5年間を今ふり返ると地獄だった。
17歳の時には、もうかなりお酒を飲むようになっていて、酔っぱらうとつい口が滑って友だちを傷つけたりするので、いっしょに飲んでいた仲間にもだんだん見はなされた。
 ひとりぼっちになったわたしは、とうとうテレビの画面に映っているニュースキャスターが「こんばんは」と言うと、それに向かって「こんばんは」と返事しながらお酒を飲むようになった。
 自分の部屋に閉じこもって、お酒のビンをひざにおいてひとりで飲んでいて、さみしさのあまり壁に向かって対話したときには、「もうわたしの人生終わった」とつくづく感じたなあ。
 「こんなわたしはろくな人間じゃない、ダメ人間だ」とつぶやいては、また飲みたくなった。飲んですべてを忘れようとしていた。
 酔っぱらうと物をこわしたり、いろいろ問題を起こすから、親やきょうだいもこわくてわたしには近よらなかった。頭はいつもボーとしてるし、どんどん自分が嫌いになって、しまいには「お酒がやめられない自分なんて、意志が弱い! 死ねばいい!」って思うようになった。  
お酒をやめて生き直そう……
 死のうと思っていろいろやってみたけど、なかなか人間は死ねないとわかったとき、「生きるしかないのかも……」と思った。そのときはじめて、お酒をやめて生き直そうと真剣に思って、親といっしょに病院に行った。そして、19歳で「アルコール依存症」って診断されたってわけ。
十代は心も身体も成長する大切な時だから、お酒は飲んじゃいけないんだよな。
今思うとわたしは、あなたたちのような一番いい時期をお酒で失いました。でもね、今はお酒なんて一滴も飲まなくたって楽しいし、つらいことも乗り越えられるようになったんだ。ここまでくるのに、ずいぶんかかったけどね。
 みなさんも誘惑に気をつけてね。ネコさんからでした。