かおり/24歳女性

わたしの旦那(30)が最近またシンナーを吸っているのがわかりました。
15歳のときに初めて吸い、20歳を越えてからは1年に1回くらいのペースで吸っているようです。
旦那の仕事がどうしてもシンナーと関わりあうことが多いので、つい手を出してしまうみたいです。
つい手を出さなくなるには、どんなことがきっかけになるのですか。
また、手を出してしまったときに周りの人間はどう接したらいいのでしょうか。


【回答】めば
《シンナーを扱う職場でシンナーに問題を抱えた人が働くことについてのわたしの体験》
わたしが、シンナーやクスリをやめて、毎日セルフヘルプ・グループのミーティングに参加しながら、2年くらいたった頃のことです。
わたしは、もともとカメラマンを生業にしていたのですが、薬物依存症のために精神科病院に入院したり、1年間依存症のリハビリテーション施設に通所したりして、3年くらい仕事から離れていました。
やっと社会復帰に向けて動き出したとき、とりあえず写真関係のバイトを探し、カメラマンとして嘱託で働くことになりました。
普段は撮影が主な仕事だったのですが、ある日撮影が急に中止となり、事務所で写真のパネル貼りをするよう上司に命ぜられました。
大きく引き伸ばした写真をパネルにまっすぐ貼り付けるだけなのですが、内勤がはじめてのわたしには手馴れない作業で、曲がって貼り付けてしまいました。
上司にシンナーの入った油さしのような形の容器を渡され、シンナーを使ってはがすよう命じられました。
久しぶりのシンナーのいい匂い……でも、次の瞬間にわたしの口をついて出た言葉は自分でも意外でした。
「わたし、シンナーダメなんです。すいません。辞めさせていただきます」と言うと、ポカンとしている会社の人たちの間をすり抜け、ビルの外に出ました。
公衆電話を見つけると、セルフヘルプグループの仲間の所に電話をして、仕事を突然やめた経緯を、声を震わせながらまくしたてました。
電話の向こうで仲間がわたしに何を言ったのか、覚えていません。
ただ、わたしはシンナー依存者として、100%正しい選択をし、自分を守ったということにとても興奮していたようです。

シンナーに問題のある人がシンナーを扱う職場で仕事をするのは、アルコール依存症者が酒屋で働くようなものです。
どんなに回復をしている薬物依存者でも「目の前にモノを置かれたら、使ってしまうかも知れない」と口をそろえて言います。(でも、生活があるからと……)という言い訳はナンセンスです。命あっての生活なのですから。

かおりさん、まず、シンナーを扱う仕事を辞めない限り、ご主人のシンナー吸引は止まらないでしょう。
コントロールできないものを、コントロールできるという(1年に1回しか吸ってないという弁明)思い込みは、シンナーを扱うような職場で自分はきちんと仕事を続けているという自負心からきています。
シンナーを扱う仕事を辞めない限り、ご主人のシンナー依存は、長引くでしょう。