hitomi/41歳女性

自分の子どもが今シンナーをやって補導2回されました。
母としてどうしていいか分りません。
施設はどんなですか?
めばさん教えて下さい。


【回答】めば
ご質問ありがとうございます。
同じようにシンナーを吸っていても、わたしのような「シンナー依存症」という病気と非行のメニューの1つにすぎない「シンナー乱用(シンナー遊び)」とでは、ニュアンスを異にします。
もちろん、シンナー乱用が進行してシンナー依存症になってしまうのですが。
シンナーを取り上げたり、説教したり、厳しく叱り付けたりといったことは、すでになさっているかもしれませんね。
今までに親として子どもにシンナーをやめさせようとしてなさった事が、もし徒労に終わったのだとすれば、そのやり方を繰り返してもよほどの事が無い限り、またうまくいかないでしょう。
それでは、親として、子どものシンナーをやめさせることができないのならば、親にできることは、何なのでしょうか?
それは、親子関係の在り方を変えるということをお母さんの方から意識的に実践していくことだと思います。
hitomiさんの子どもさんは、頭のてっぺんから足の先まで「シンナー」ではないのです。
それ以外のいい面や悪い面などもたくさん持っているはずです。
「シンナー」以外の部分でコミュニケーションしてみませんか?
こんなことがありました。
わたしがシンナーをやめて数年たったときの事です。
仕事にもつき、結婚もしていました。
ある冬の日、わたしは実家に用事があって帰ったのですが、風邪の引き始めで熱がかなりありました。
実家にたどりつくなり、挨拶もそそくさにわたしはコタツに足をつっこむなり、ばたんと横になって、眠り始めました。
しばらく、うとうとしていたのでしょうが、眼を覚ますと傍らに母が座ってわたしの顔を見下ろしています。
心配気な表情です。
「あんた、またおかしなもの(シンナーやクスリのこと)やってるんじゃないの?」
わたしは、ムッときました。
一瞬、古い狂気な思いが浮かんできました。
(こんなにやめてるのに、また疑われてる。シンナーでも吸ってギャフンと言わせてやろうかな)
でも、しばらく冷静になって考えてみると、こんな風にわたしの様子がちょっとおかしいだけで、すぐシンナーのことが思い浮かぶようなトラウマを母に与えてしまったのは、このわたしなのです。
母がわたしの問題に立ち入ろうとすると条件反射的に心にバリケードを築いてしまうわたしですが、反対に母が自分の話をするとき、例えば彼女の趣味や他愛も無い話などですが、わたしの心に防護壁は不要です。
シンナーのことだけに焦点をあてず、他の話題やお母さんご自身のことなどを盛り込んだコミュニケーションの在り方を模索してみて下さい。
10代の子どもの薬物は、親が変わることによって、ずいぶん良い方向へ向かったというお話を時々聞きます。
薬物依存症の施設としては、全国20数ヶ所に展開している「ダルク」という施設があります。スタッフは、薬物依存症からの回復者が務め、グループ・ミーティングを中心としたプログラムを提供しています。
実を言うと、わたしも8年間、ダルクのスタッフをしていました。
ですが、ダルクに通所あるいは入所するひとたちは、20代〜40代が中心で、18、19歳のハイティーンは時々来ますが、それより年下の子どもが来ることは、めったにありません。
むしろ、薬物依存の家族のためのグループをやっているところを探して
(各地のダルクなどに問合せしてみてください)一度参加してみてください。
http://www.ask.or.jp/yakubutsuproblem.html
お母さんのお気持ちを心の底から理解し、子どもへの対応で「こうしたらうまくいった、あれは失敗だった」といったことを体験として話してくれると思いますよ。
もちろんhitomiさんも愚痴るだけ愚痴っていいのです。
最後に、薬物を使用している子どもの親は、「わたしの育て方が悪かったから……」と自分を責める言葉を口にします。
でもシンナー依存症のわたしが言うのも変ですが、決してそんなことはないと思います。
薬物を使うことを選んだのは、使ったわたしたちなのですから。