べべ/21歳女性

初めまして。よろしくお願いします。
私には18歳の妹がいます。
先日自分の部屋でシンナーを吸っているのを見つけました。
半年程前に妹の友だちがシンナーを吸って交通事故で亡くなりました。
その時母親が妹に薬物に手をだしてないか聞いた時、やったことはあるけど今はもうやっていないと言ったので薬物の怖さを知らない私たちはその言葉を信じてしまいました。
家で吸ったのは今回が初めてのようで、今になってようやくまだ続いている事に気づきました。
妹は15歳の頃から吸い始め、嫌なことがあったときなどに吸ってしまうそうです。
シンナーだけでなく、大麻にも時々手を出してしまうようです。
昔に比べると、そういう友だちは減ったそうですが、やめられないといいます。
泣きながらやめたいと言っていましたが、どうしたらいいのかわかりません。
親には言わずに妹がシンナーをやめられるようにしたいのですが、不可能でしょうか?


【回答】めば
やめたくてもやめられないのが依存症という病気。
まず、シンナーの吸引の回数が頻繁で、自力でシンナーを切れないときは、精神科病院へ入院して解毒する必要があります。
もちろん、入院が必要かどうかは診察をした上で医師が判断しますが、シンナーの人を門前払いする病院も多く、あらかじめ診てくれるのかどうか問い合わせした方がいいと思います。
ですが、べべさんのメールを拝見すると、親には内緒で……ということですので、医療機関にかかるとなると、保険証が入用になってきますので、親に隠し続けるのは限界があるかも知れません。
妹さんが匿名で参加できる所として、NA(ナルコティクス・アノニマス=無名の薬物依存者たち)という薬物依存の当事者たちで運営している、セルフヘルプグループがあります。サイトのアドレスはhttp://najapan.org/ です。
べべさんのお近くのエリアの会場を調べてください。
「オープン O」と書かれているミーティング会場ならべべさんも一緒につきそいで入ることができます。(ただし、発言できるのは当事者だけです)
NAなら、住所や本名や電話番号を言う必要もなく、入会金や会費も不要です。
わたしも、薬物依存から一緒に回復していく仲間と出会うことから、シンナーを使わない人生がスタートしました。
べべさんにできることは、NAなどのグループに妹さんをつなげることと、妹さんの話を聞いてあげることです。
まちがっても、シンナーを取り上げたり、やめる約束を強要したり、妹さんに近寄ってにおいを嗅いだりしないでくださいね。
べべさんに妹さんのシンナーをやめさせることはできませんが、また吸ったとしても、妹さんがべべさんに心を開けるようだといいですね。


【再質問】べべさん
めばさんこんばんは。お返事ありがとうございました。
二度目ですが、妹の事でまた質問させていただきます。
妹はやめたいと言う割には、自分でやめられる、いつかはやめられる。
などといい、病院や集まりなどには行かなくていいと言います。
やめようという意思が最近あまり感じられません。
本人が真剣にそう思うまでは私は何もしないほうがいいのでしょうか?
先日、半ば強引に薬物依存の治療ができる病院に連れて行きましたが若くてあまり頼りがいのない先生で、質問には普通に答えれているからあまり心配しなくていいし、この程度ならまだ大丈夫といわれてしまいました。
手が震えてタバコを落とすことがある状態なのに心配はないのでしょうか?
薬物依存の治療とはどのようなことをするのですか?
今回の医師のような対応が普通なのでしょうか?
最後に、前回のめばさんのお返事の中に「まちがっても、シンナーを取り上げたり、やめる約束を強要したり、妹さんに近寄ってにおいを嗅いだりしないでくださいね」とありましたが、私はこれを全部やってしまいました。
シンナーのことを妹に聞くと「やってないよー」と笑いながら言ってくれますが、私の監視するような態度は妹を傷付けてしまうのでしょうか?
正直最近妹にどのように接したらいのかわからないんです。
なるべくシンナー以外の話しをしようとは心がけてはいるのですが、あまりシンナーの話しはしないほうがいいのですか?

【回答】めば
べべさん、あなたは本当に妹思いのいいお姉さんですね。
でもどこかで、お母さんのしそうなことをお母さんの代わりになってしていませんか?
「自分でやめられる、いつかはやめられる、わたしは病院の世話になったり、セルフヘルプ・グループの集まりに参加しているような薬物依存症者とは違う」とよくわたしも言ってたなァ。
否認は依存症者の多くが示す典型的な症状の一つです。
また、泣きながら「やめられない」と言った舌の根も乾かぬうちに、「大丈夫、本気でやめようと思ったらいつでもやめられるから」と言うことがコロコロ変わったり、ケラケラ快活に笑っていたかと思うと、急に押し黙って自分ひとりの世界に浮遊しているような気分の変わり方の驚くべきスピードは、シンナー依存症者に共通の症状なのです。
べべさん、妹さんの症状に振り回され、妹さんの行動や言動に一喜一憂すればするほど、へとへとになり、不安は増し、怒りさえ覚えてくるのではありませんか?
妹さんの「やめようという意思」を欲しがるのは空しいことです。
監視的な振る舞いは、百害あって一利なしです。
べべさん、少し休憩しましょう。
妹さんのシンナーの問題に注がれている注意力を、ご自分に向けて、疲れ具合をチェックしてみてください。
妹さんのことをつかのま忘れて、自分のしたいことを楽しんでください。
次に妹さんとおしゃべりするときは、妹さんのシンナーの話題ではなく、べべさんご自身のこと、ショッピングの話、美味しいお菓子や映画、べべさんの友人のことetc...をするように心がけてください。
(べべさんご自身が自分のしたいことを楽しまなければ話題にも事欠くわねっ)
シンナーの話を妹さんから切り出して来たら、途中で意見を差し挟むようなことはせず、最後までただ黙って聞いてあげてください。
「どうするのか?」は妹さん自身が選択できるようなやりとりが望ましいでしょう。
シンナーを使っている人は、いろいろ突っ込まれて聞かれると、すぐ壁を作ってしまいます。
でも、心の隅ではいつもシンナーのことをなんとかしたいと思っていることも事実です。
しかし、シンナーをやめたい、なんとかしたいという気持ちを意識化し、それを周囲の人に伝えられる状態は、一日のうち、数秒あるかどうかなのだということを肝に銘じて下さい。
要は身近にいる人がそういったタイミングをキャッチできるかどうかなのです。
妹さんがもし、「やめたい」「やめられないの」といった言葉を口にした時は、すかさず「そうか、やめたいのね」「そーなんだ、自分ではやめられないんだ」というように、オウム返しの言葉を返す程度の対応が、妹さん自身の気づきを高めていくことになるかもしれません。
わたしは医療関係者ではないので、病院での薬物依存治療の細部についてコメントする立場ではありません。
ただ、セルフヘルプ・グループやリハビリテーション・センターなど、ピア・サポートの現場でわたし自身が回復をはかってきた経験から、医療機関に期待することは、通院する必要がない(医療的処置の不要な)薬物依存者にも、次の受け皿(セルフ・ヘルプ・グループ)を紹介して欲しいということ。
家族がすすめても、首を縦に振らない人でも、専門家がすすめるとあっさり集まりに参加することがよくあるのです。(実はわたしがそうでした)
最後に。
妹さんがシンナーを吸いたくなる気持ちの裏に秘められた表現不能の思いについて何か心あたりはありませんか?
一度考えてみてください。